私たち教育図書株式会社は、中学校・高校の教科書や教材を出版している会社です。 教育図書NEWSは主に学校の先生や教職関係者のみなさまに向けて、教育に関する独自の記事を発信しています。すべて無料でご利用いただけます。
家庭科の授業で一番思い出に残っていることといえば、なんでしょうか？
手を動かして実体験した「被服実習」と答える人は多いはず。
授業を楽しみにしている生徒さんもたくさんいるでしょう。
思い出に残り、形にも残る学習だからこそ、使う教材は吟味して選びたいですよね。
今回は、教育図書がおすすめしたい、被服実習に使える「畳縁（たたみべり）」教材について、その歴史と魅力、授業実践事例を紹介します。
目次
「畳縁（たたみべり）」とは、読んで字のごとく、畳の縁（へり）につけられる布のこと。
畳表（たたみおもて）の角の摩擦を防ぎ、畳を敷き合わせる際にできる隙間を“しめる”役割などがあります。
和室が減っているといわれる今日このごろですが、生徒さんの中には実際に目にしたことがある人もいるかもしれません。
畳の起源は縄文時代から弥生時代にまでさかのぼり、「古事記」にもその記載があるといわれています。
今年の大河ドラマ「光る君へ」にも畳は登場しており、華やかな畳縁に目を惹かれます。
このように伝統のある畳縁が、今、注目を集めています。
畳縁工場（髙田織物株式会社様：岡山県倉敷市）の様子と出来上がった畳縁
これまで、畳の縦辺（約2m）に満たない畳縁の端切れは破棄されていました。
ところが、手芸好き・ものづくり好きの間で、畳縁の①軽い、②丈夫、③柄の種類が多いという特徴が、素材としての魅力的だと話題に。
まさに、持続可能な社会の実現につながるアイデアのひとつです。
教育図書は、畳縁を「伝統」と「SDGs」の学習に効果的な教材として、全国の学校へ提案させていただいます。
【畳縁でつくる かんたんペンケース】
神奈川県横浜市の桐蔭学園中等教育学校で家庭科を教える佐藤誠紀先生は、数年にわたり畳縁教材を授業で活用されています。
中学2年生で教える、「衣生活」と「住生活」の両分野に関連づけられる、伝統文化にふれられる、という観点から活用を決めたそうです。
佐藤先生のアイデア満載の授業実践をぜひご覧ください！
| ・活用教材：畳縁でつくる かんたんペンケース
・使用学年：中学2年生 ・授業時間数：2時間(ペンケース製作)＋2時間(広告作成)＝計4時間 |
縫う長さは約30cmと短めのため、２時間ほどかけじっくり丁寧に手縫いします。
ファスナーはすでにとりつけてあるため、簡単につくることができます。
畳縁教材に付属の読み物資料を活用し、岡山県倉敷市の繊維産業の歴史などを盛り込み、販売者の立場に立って広告作成に挑戦します。
「見やすく、わかりやすい」「どのように広告を作ると畳縁の魅力が伝わるか」を生徒に考えてもらいます。
畳縁教材に付属の読み物
最後に、生徒どうしで広告を評価し合います。
高級品に仕立てた広告や外国人にアピールする広告など、さまざまな発想アイディアを共有することで、同じものでもいろいろな視点があることに気づきがあります。
以下は、生徒が考えた広告の一例です。
生徒作品①
生徒作品②
Q.畳縁を授業で使う良さやご感想を教えてください。
佐藤先生：
被服実習の時間が多くとれない中、手縫いの基礎的な技能の確認をします。
授業の後半では、ペンケースの広告作りでは、製造・販売する立場で検討します。
素材が畳縁なので、まずは付属のパンフレットを中心に情報を集め、その素材のポイントを自分が作ったペンケースと照らし合わせ、広告を作ってもらいます。
この課題を通して、畳縁という素材との出会いから、広告作りを通して自分がつくったモノの広がりを感じることができると思います。
Q.今後やってみたい活動はありますか？？
佐藤先生：
今回のペンケースづくりから目指している方向として、服や持ち物・食べているものなど、自分の生活にかかわるモノやコトにより興味をもってもらい、それを語れる力を持ってほしいというねらいがあります。
生活を支えているモノやコトは、「かわいい」とか「おいしい」だけではなく、視点を変えればさまざまな語りができると思います。
今後も、各分野の学習で自分の価値観を表出させるような課題をつくっていきたいです。
佐藤先生、ありがとうございました！
↓オンラインショップはこちらから↓
↓教育図書オリジナルカタログ↓
2024家庭科総合カタログ（デジタル版）
